Salon de thé Lausanne
金沢市の外環状道路開通に伴い、移転することとなった老舗洋菓子店ローザンヌの新築計画です。店舗とカフェスペースの他、それまでは別々の場所にあった工場とオーナーの住居を一体で計画しています。
移転先は開通後の幅員が55メートルとなる環状道沿いの交差点角地で、隅切り部分の長さだけで20メートルを超えていました。ロケーションからほぼすべての来客は車によるものと想定され、駐車台数をなるべく多く確保することと、接する2つの道路からスムーズに駐車場にアクセスすることが求められました。近隣には大型量販店の出店も決定しており、周辺に対して建物の存在感をどのように生み出すかということに苦心しました。大味で虚飾に満ちた建物群とは一線を画し、小さいながらも上品で、時間を経ても消費されない普遍性を併せ持ち、55メートルの道路の反対側から見ても鮮烈な印象を与えるような店舗建築の実現を目指しました。
直角二等辺三角形の光庭に面して、すべて同じ高さの3つの直方体ボックスを、1つは2階建ての住宅、もう1つは平屋の店舗、最後の1つは1階に工場の一部、2階にカフェとして配置しています。光庭は店舗の床面から2メートル持ち上げ、その下部も工場のスペースとし、店舗と接続しています。店舗のボックスには巨大なポーチを設け、隅切り部に寄せて配置することで建物ファサードを交差点に近接させると同時に、各道路に面して配置した2つの駐車場を敷地内でつないでいます。
それぞれのボックスの壁面には窓というよりも巨大なフレームのように見える大きな開口部が開けられています。交差点からはポーチ、店舗、光庭、カフェと連続的にフレーミングされた内外の空間が重層的に見えます。空間の重層化によって、建物の印象を表面的なものでなく、多重な奥行きをつくり出し、その重なりの中にケーキという職人的で繊細なスケールと55メートル道路の都市的なスケールの両方を同時に許容するような空間のクオリティを追求しました。
CATEGORIES
LOCATION
石川県金沢市直江町
YEAR
2013
COLLABORATORS
オーノJAPAN,ymo,岡安泉照明設計事務所,リュースニング,The Normal Life Products